「君しかいない。」

 昔からそばにいた。
 離れたくなかった。
 離れてた時期もあった。
 お互いに嘘もつきあった。
 今も嘘をついたりする。
 でも、多分。
 君がいなかったら僕は生きてないよ。
 僕が僕を終わらそうとした時、真っ先に君の顔が浮かんだんだよ。
 どうしても君といたくて、僕は今も生きてる。

   「世界中でたった二人で生きていたい。」
 「あの子以外いらない」
 そう思ったのを、君は知らない。

   家族も、夢も、お金も、国も、地球すら、酸素もいらない。
 君だけがいればよかったんだ。

 君はそんな僕の言葉を重いと思うかもしれない。
 拒むかもしれない。
 だからこのことは秘密にするよ。
 いつか君に言うから。
 最期の言葉は決まってるから。
 だから、今は言わない。

 「君しかいらない」

 君が泣いた時、どうしたの?って聞いても君は何も言わなくて。
 「何でもない」を繰り返すばかりで。
 隣にいることしかできない自分が悔しくて、僕は一人で苦しんだんだ。

 嫌いだと思ったこともある。
 残酷な言葉を君に浴びせたこともあった。
 でもね、君から言葉を聞きたかったんだ。
 「大切だよ」って。

 君が死んだら、簡単に言うようだけど僕も死ぬよ。
 君がいない世界なんて意味がないから。
 本当にね。
 そう思ってる。
 でも、本当に死ねるかは怪しいんだけど。
 死の後に待ってるのが君なら、僕は迷わず終わりを目指すよ。
 君のためなら死すら恐くない。
 でも、君が死んだらなんて考えたくもないから、君は僕より長く生きて。


 ここまで僕を奪ったのは、

 ここまで僕に依存させたのは、

 ここまで僕を不安にさせるのは、

 ここまで僕を包んでくれるのは、

 ここまで僕を求めるのは、

 ここまで僕が求めるのは、



 『君しかいない』

                          END



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